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【作品データベース】この子を残して このこをのこして

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・128分
「長崎の鐘」などで知られる永井隆の同名手記を原作に、戦争と原爆への怒りを露わにしつつ、親と子の深い絆を描いたヒューマン・ホームドラマ。宗教的ともいえる静謐なタッチを貫きつつ、最後の最後で原爆投下後の地獄絵図を、原爆詩に曲を付けた歌を流しながら壮大なオペラのごとく一気に見せつけ、見る者に多大なショックを与える大胆かつ秀逸な構成。長崎県佐世保市の現ハウステンポス所在地に当時の浦上地区を再現させ、それを一気に爆発させるという巨大オープン・セットのリアリティも並々ならぬものがある。木下映画の粋を知る名優たちの好演も手伝い、もはや反戦映画として揺るぎない説得力を持ち得た秀作として屹立している。

STORY
昭和20年8月7日、長崎医大放射線科の医師、永井隆(加藤剛)は日増しに激しさを増す空襲に、10歳の息子・誠一(中林正智)と5歳の娘・茅乃(西嶋真未)を、妻・緑(十朱幸代)の母・ツモ(淡島千景)の居る木場に疎開させた。その夜、緑は診察のため長い放射線をあび、自ら命を縮めようとしている隆に休息するよう懇願するが、彼は患者が増えているからと聞き入れない。8月9日、午前12時2分。川で泳いでいた誠一は、浦上の方で空がピカッと光るのを見た。そして突風が津波のように押しよせてきた。街の方で何かあったのかもしれないと様子を見に出かけたツモは、日が暮れてから緑の骨を缶に拾って戻って来た。次の日、ツモが誠一を連れて焼け跡を訪れると小さな十字架が立てられていた。ツモは隆がここに来たと言う。隆はその頃、被爆者の救護活動をしていた。ツモと骨を拾っていた誠一は焼け焦げた縁のクルスを拾う。8月15日、日本は無条件降伏し戦争は終った。隆は放射線医として原爆の記録を綴っていたが、子供たち二人のために、たった一人の母の思い出と、人間としての尊厳を守る強い愛を残そうと自分の体験を執筆し始めた。

キャスト・スタッフ

- キャスト -
加藤剛
十朱幸代
淡島千景
山口崇
- スタッフ -
原作:永井隆
監督:木下惠介
脚本:木下惠介
脚本:山田太一
撮影:岡崎宏三
音楽:木下忠司

配給:松竹
©1983 松竹/ホリプロ

ジャンル:現代劇