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【作品データベース】SADA さだ

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・132分 
昭和11年、愛した男の性器を切断するという事件を起こして世間を騒がせた阿部定の半生を綴る人間ドラマ。監督は『三毛猫ホームズの推理』の大林宣彦。脚本は、自らの原作を基に執筆した西澤裕子。撮影を『良寛』の坂本典隆が担当している。主演は、『失楽園』の黒木瞳と『でべそ』の片岡鶴太郎。第48回ベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞受賞作品。

STORY
1919年夏。14歳の定は、慶応ボーイの斉藤に旅館に連れ込まれ、処女を失う。ひどい痛みと出血に泣きじゃくる定。そんな彼女を介抱してくれたのは、同じ慶応ボーイで医学生の岡田(椎名桔平)であった。優しい岡田に定は想いを寄せるが、岡田は定を一度も抱くことなく彼女の前から姿を消してしまう。その後、定は近所のガキ大将・金ちゃんらと不良生活を経て、1923年、義兄・滝口の紹介で芸者置屋の門を潜る。神田の畳屋の末っ子として生まれた定は、三味線や歌に秀でており、たちまち売れっ子となった。時は流れ、あちこちの遊郭を転々とした定(黒木瞳)・29歳の時。政府外郭団体の大物・宮崎(坂上二郎)の妾宅に暮らしていた彼女は、名古屋市議会議員の立花(ベンガル)を紹介され、彼の愛人となる。立花の寵愛をうけ、安定した生活を送るようになる定。埼玉に住む両親にも孝行が出来るようになった彼女であったが、しかし今でも気がかりなのは岡田の行方だ。そこで、立花に無理を言って岡田の行方を探して貰うが、実は岡田はハンセン病で瀬戸内海のある島に隔離され、生死も定かでないことが判明する。1936年、31歳になった定は、立花の薦めで料亭「きく本」に見習いへ出る。ところが、彼女は店の主人・喜久本龍蔵(片岡鶴太郎)といい仲になってしまうのである。龍蔵との濃密な情交に溺れていく定。そのことが女将・よし(根岸季衣)に知れると、彼女は店を飛び出し、龍蔵と待合を渡り歩く暮らしをする。もはや、彼女は龍蔵なしでは生きていられないほど彼を愛していた。同年5月17日の夜、定は龍蔵の首に腰紐を巻きつけ殺害。男根を切断すると、それを帯の間に大切にしまって姿をくらますのであった。彼女が逮捕されたのは、それから2日後のことだった。彼女の事件は当時の新聞を騒がせたが、一般には恋に生きる女性として好意的に受け取られた。その年の暮れ、彼女に懲役6年の判決が下りる。その後、彼女がどのように生きたか詳しく知る者はいないが、ハンセン病の隔離政策も解かれた現代・1998年。もし、定が生きていれば93歳になっている筈である──。

キャスト・スタッフ

- キャスト -
黒木瞳
片岡鶴太郎
椎名桔平
- スタッフ -
原作:西澤裕子
監督:大林宣彦
脚本:西澤裕子
撮影:坂本典隆
音楽:學草太郎

配給:松竹
©1998松竹株式会社

ジャンル:現代劇