映画・アニメの世界

【作品データベース】あ、春 あ、はる

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・100分
映画界に今もなお影響を与え続ける名匠・相米慎二監督によるホームドラマ。妻とひとり息子に恵まれ、サラリーマンとしても順調に歩んできた男の下に、幼い頃に死別したと聞かされていた父親が突然姿を現したことから始まる騒動を描く。キネマ旬報ベストテンのベスト1作品。

STORY
一流大学を出て証券会社に入社、良家のお嬢様・瑞穂(斉藤由貴)と逆玉結婚して可愛いひとり息子にも恵まれた韮崎紘(佐藤浩市)は、ずっと自分は幼い時に父親と死に別れたという母親の言葉を信じて生きてきた。ところがある日、彼の前に父親だと名乗る男が現れたのである。ほとんど浮浪者としか見えないその男・笹一(山崎努)を、にわかには父親だと信じられない紘。だが、笹一が喋る内容は、何かと紘の記憶と符合する。しかも、実家の母親に相談すると、笹一はどうしようもない男で、自分は彼を死んだものと思うようにしていたと言うではないか。笹一が父親だと知った紘は、むげに彼を追い出すわけにもいかず、同居する妻の母親に遠慮しながらも、笹一を家に置くことにした。しかし、笹一は昼間から酒を喰らうわ、幼い息子にちんちろりんを教えるわ、義母の風呂を覗くわで紘に迷惑をかけてばかり。ついに堪忍袋の緒が切れた紘は笹一を追い出すが、数日後、笹一が酔ったサラリーマンに暴力を振るわれているのを助けたことから、再び家に連れてきてしまう。図々しい笹一はそれからも悪びれる風もなく、ただでさえ倒産が囁かれる会社が心配でならない紘の気持ちは、休まることがない。そんなある日、笹一の振る舞いを見かねた紘の母・公代が来て、紘は笹一との子ではなく、自分が浮気してできた子供だ、と告白する。その話に身に覚えのある笹一は、あっさりその事実を認めるが、紘の心中は複雑だ。ところが、その途端に笹一が倒れてしまう。病院の診断では、末期の肝硬変。笹一は入院生活を強いられ、彼を見舞う紘は、幼い頃に覚えた船乗りの歌を笹一が歌っているのを聞いて、彼が自分の父親にちがいない、と思うのだった。しばらくして、ついに紘の会社が倒産した。しかし、今の紘には、笹一のように強く生きていける自信がある。そしてその日、笹一が息を引き取った。紘は死に目に会うことは叶わなかったが、笹一のおなかに、彼がこっそり温めて孵化したチャボのひなを見つける。数日後、笹一の遺体を荼毘に付した紘たち家族は、彼の遺灰を故郷の海に撒くのだった。

キャスト・スタッフ

- キャスト -
佐藤浩市
山崎努
斉藤由貴
藤村志保
- スタッフ -
原作:村上政彦
監督:相米慎二
脚本:中島丈博
撮影:長沼六男
音楽:大友良英

配給:松竹
©株式会社トラム/松竹株式会社/株式会社衛星劇場

ジャンル:現代劇