白痴（1999)

公開日：1999年11月13日（土）

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・146分　
長引く戦争で荒廃した日本を舞台に、青年と白痴の人妻のピュアな愛と魂の再生を描いた文芸ロマン。監督は『ＮＵＭＡＮｉＴＥ』の手塚眞。坂口安吾による同名小説を基に、監督が脚色。撮影を『犬、走る　ＤＯＧ　ＲＡＣＥ』の藤澤順一が担当している。主演は、浅野忠信。

STORY
過去とも未来ともつかぬ終末戦争下の日本。テレビ局・メディアステーションにＡＤとして勤務する青年・伊沢（浅野忠信）は、娼婦やスリ、大陸浪人たちが暮らす長屋が並ぶ薄汚い下町に間借りしている。今、彼が担当しているのは、カリスマ・アイドル、銀河（橋本麗香）が出演する低俗で虚飾に満ちた歌謡番組「帝国スペシャル」。銀河のサディスティックともとれる言動に振り回されるスタッフの中にあって、伊沢だけは彼女のわがままを超然と受け流していた。しかしその態度が災いして、彼は銀河のいじめの格好の標的になってしまう。ある日、伊沢の部屋の押し入れに、隣家に住む木枯（草刈正雄）の知的障害者の妻・サヨ（甲田益也子）が忍び込んできた。彼女を匿い、秘密の生活を送る伊沢。戦争にも仕事にも疲れ果て自殺願望のあった彼にとって、サヨだけが救いとなり、安らぎとなっていく。そんな伊沢に、プロデューサーの野村（荒井紀人）が映画の話を持ちかけてきた。映画製作を夢見ていた彼は、知的障害者と暮らす小説家のシナリオを書き上げるが、銀河を主役にするという野村に不信感を抱き、自らその話を辞退してしまう。それからしばらくして、伊沢の住む町の上空にも爆撃機が現れるようになり、爆撃が開始される。サヨの手を取り、山へ逃げ延びる伊沢。彼はそこでサヨと共に再生する幻を見る…。そんなふたりの物語を書いていた小説家は、そこで筆を置いた。