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藤山扇治郎

――扇治郎さんは松竹新喜劇に入団されて四年目、つい先日は新橋演舞場にも四度目の出演をされました。座員として、松竹新喜劇の魅力を語ると?

藤山お芝居を見に行くというのは、たとえば新橋演舞場に行く、歌舞伎座に行くというのは非日常の楽しみの一つで、ハレの日の楽しみというのかな、お祭り気分があると思うんです。
だから、お姫さんが出てきておとぎ話みたいな展開があったり、急に歌を唄ったり、泣き喚いたり、リアルに考えればないことでも「お芝居だから」ありという世界が多いと思うんです。
でも、松竹新喜劇の作品は、日常を題材にしていて、舞台上では、ごくありふれた事が起こっているだけなんです。ふだん自分にふりかかっていることとか、学校や職場で起こっていることが舞台上で繰り広げられる。こういう演劇というのはなかなかないと思うんです。だからこそ、逆にお芝居をご覧にならない方、特に若い方々にこそ入りやすい世界かなと思うので、ぜひ松竹新喜劇を味わっていただきたいです。

――劇団名に「喜劇」が入っていますが、いまテレビなどで提供されている笑いと、松竹新喜劇の笑いの違いは?

藤山松竹新喜劇は今から百十数年前に歌舞伎から生まれてきた演劇なんです。いま世の中にはコント、漫才、漫談とかいろいろな笑いの形がありますけど、松竹新喜劇はお芝居のなかのひとつの要素として笑いが入っています。
お芝居のなかに、笑うところもある、泣くところもあって、感動をしていただくというつくりになっています。ただ単に面白いだけのものじゃないと思うんです。
一番大事なのは、お客様に共感していただくということ。あ、これは自分の職場と一緒やなとか、自分の家庭環境と同じやなということを芝居の中で体感し、泣いて笑っていただく。それに日々の生活の中で生きていく幸せを見つけるヒントみたいなものも作品に入っていますので、ぜひそれを見つけて欲しいと思います。

――舞台上の会話がアドリブに見えるときがあるのですが、台本はどうなっているのでしょう。

藤山僕が先輩にお聞きしたのは、もともとの台本に各々役者が芝居の世界を堀り下げ、どんどんセリフを足していって大きい深みのある作品になってきたと。稽古中や本番でしゃべったアドリブなんかが面白ければ、それが台本に足されるわけです。あるいは稽古中に一旦入れたものを削ったり。その結果がいまの台本になっているそうです。
ですから、本番になってからも、役になりきろうと前日とは違う気持ちで毎日取り組みます。その日のお客様によっても違いますし、昨日、ちょっとこれはあれやったから、今日はもう少し工夫を凝らしたいとか、常に変化しています。そういう部分も楽しんで頂けたら、と思います。

つづく

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