ビジュアル・アート界の巨匠ウィリアム・ケントリッジが語るアートとオペラの世界!

2020年2月20日 木曜日

今シーズン第5作目となるベルク《ヴォツェック》新演出が2月28日(金)~3月5日(木)まで1週間限定で全国公開となります。人生の不条理、社会の歪みを描いたベルクの大傑作をビジュアル・アート界巨匠ウィリアム・ケントリッジ氏の演出でお届けいたします。

昨年2019年に世界文化賞の絵画部門を受賞した、ケントリッジ氏のインタビューをまじえ、彼が手掛けるオペラとアートの魅力をお伝え致します!

 

“第一次世界大戦を予感させる時代設定に。

音楽で表される 世界の大変革や爆発を 舞台でも描きます”(本編のインタビューより)

 

個別懇談会でのウィリアム・ケントリッジ氏

★高松宮殿下記念世界文化賞の絵画部門を受賞されて:

「これまで30年間にわたって素晴らしい芸術家の方々が同じ、世界文化賞を受賞されてきたことを思うと、本当に嬉しい気持ちで一杯です。18歳の時の私に、こんな賞をもらえるといったら、どれだけワクワクしたでしょう。」

 

★普段、アトリエでどのような仕事をされているか:

「世界中から写真、新聞の切り抜き、Eメールやハガキなどをアトリエに集めることから始まります。バラバラに分断されたものから、イメージを一つのものにリアレンジし、それを木炭のドローイングなど、色々なカタチで世界に発信します。このとき重要なのは、その意味を受け取るだけではなく、それを我々が構成し作り上げることです。暫定的に作ったものに、不確実さや疑念が入ることもあります。このようなアトリエでの制作活動は、我々が世界を理解する方法でもあると思います。」

 

 

合同記者会見 写真:左から、ウィリアム・ケントリッジ(絵画部門)、坂東玉三郎(演劇・映像部門)、 ビリー・ツィン&トッド・ウィリアムズ(建築部門)

★木炭のドローイングでアニメーションを制作する発想のきっかけは?:

「木炭でのドローイングという方法自体が私の作品のテーマを表しています。木炭は通常のインクと違って簡単に消したり、ブラッシングして状態を変えることができます。考え方を変えるのと同じ様に、絵も変えることができます。“絵を描いては消す”というプロセスを繰り返し、それを撮影しながら、そこから物語のあるフィルムが作れることに気づきました。絵の制作のプロセス、移り行く姿、消した絵の一部を残し、さらにそこに付け加えるなど、変わっていく過程をフィルムに撮ることで、記憶や忘却、過ぎ去る時間を作品に示したいと思っています。アトリエで作業する時には、自分がどういうことに実は関心があるのか、自分が本当はどういう人間なのかと考えながら作業しています。」

 

★オペラや舞台美術に取り組んでいるが、一つの活動に留まらないのはなぜ?:

「舞台で行う芸術には、学生時代から関わってきました。色々な新しい発想が――演劇から絵画、絵画から新しい劇の形式へと――どんどん発展することをその時分かりました。ただ、私にとっては結局、全てがドローイングに結び付くのです。それが一次元、二次元だったり、「動く」ドローイングですと三次元となります。ステージで行う私の作品は、プロジェクションとして、まず二次元があって、時間があり、さらに劇場の奥行きがあってそれだけでも四次元になるのです。」

 

★オペラやクラシックなどのテーマに、何かこだわりはあるのか?:

「私にとって大事にしているテーマは、オペラや台本以外の部分でも興味をもたらすことです。そしてオペラのテーマを、インクや木炭などを使って舞台に反映させられることです。」

 

★メトロポリタン・オペラで《ヴォツェック》を演出されますが、選定された理由は?:

「まず一つに私は招かれる側ですので、自分で作品を決めることはできません。(笑)
《ルル》や《ヴォツェック》に関しては、音楽に非常に心を動かされました。ストーリーの部分では、《ルル》は刹那的な欲望を不思議な形で肯定しているところ、《ヴォツェック》は失望や落胆、虚しさを描いているところに関心を持ちました。実際の舞台は100年以上前のドイツやオーストリアのことを描いておりますが、それを南アフリカに置き換えて考えるのも非常に容易でした。」

 

空間全体で作品を体験することは、どれくらい大切なことなのか?:

「作品を見る人に、構想のコンストラクションの中に入り、その一部であると感じてもらいたいです。オペラですと観客は外から見ることになりますが、美術館ですと見に来る人に作品の中に入ってもらう展示も可能です。私としては、観客が作品の中に入ってオペラを体験できるような作品作りが出来るオペラハウスと一緒に仕事がしたいです。」

 

 

 

 

 

写真(c) The Japan Art Association/The Sankei Shimbun、Ken Howard/Metropolitan Opera

 

ウィリアム・ケントリッジ演出《ヴォツェック》新演出は、2月28日(金)~3月5日(木)まで全国の映画館で上映!

ぜひお見逃しなく!

 

《ヴォツェック》作品紹介はこちら

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