エンタテインメントの世界

Vol.4 『松竹カレンダー』

映画パンフレット・グッズの担当者にこだわりを聞くインタビュー企画。
第4回は『松竹カレンダー』の担当者・竹内 豊氏に話を聞きました。

※インタビュー内容は2018年時のものです。最新のカレンダーページに飛びます。

Q. まずは制作の流れを教えてください。

 毎年10月1日の発売に向けて、2月頃から企画やコンセプトを考え、カメラマン、デザイナー、着物、コーディネーター等のスタッフを決めていきます。だいたい3月~4月頭くらいには固め、4月末くらいから各女優さんの事務所にオファーをしていきます。松竹カレンダーは毎年レギュラーで出ていただいている方が多く、それ以外は松竹作品に出演している方にお願いしているのですが、できるだけ翌年公開の映画、テレビドラマ、演劇に出演される方にしています。そして、初登場の方を1人~2人は入れるようにしています。撮影は6月初旬から7月末くらいまで2か月間です。ご多忙な皆さんの日程を調整して撮影をしています。撮影後は8月~9月に写真選定や校正作業をして、9月に印刷、10月1日から発売という流れになっています。
 私は制作だけでなく営業販売も担当しているので、2~9月は制作、10~2月までは販売業務をし、一年中カレンダーに携わっています。

Q. カレンダーのコンセプトはどのように決めていますか。

 毎年松竹のカレンダーチームのスタッフが会議をして決めています。今年の「つなぐ」というコンセプトは、元号の変わる大きな節目の年である2019年に、過去、現在、未来をつなぐという意味をこめて決めました。各月の女優さんの背景に一枚の布が繋がっているイメージのデザインは、このコンセプトから来ています。女優さんのポージングとデザインを合わせる必要があるため、ある程度キャスティングが決まってから、それに合わせてデザイナーに背景のデザインコンテを出してもらいました。あくまでも女優さんが主役であり、女優さんの美しさをお客様に見ていただくことが第一優先ですので、それを邪魔しない程度にテーマ性を持たせ、統一感が出るようにしています。ただ着物を着ていただいて撮ったものというだけではなく、毎年しっかり企画、コンセプトを考えているのです。

Q. 今年のカレンダー制作について教えてください。

 今年はすごくチャレンジングな年で、松竹の劇団を源流とし、新橋演舞場や大阪松竹座等で公演をしているOSK日本歌劇団の方々に舞台衣裳で出ていただきました。実際に7月の新橋演舞場公演で使用されたものです。演劇の部署や松竹衣裳の協力を得て実現しました。OSKの方々にも大変喜んでいただけました。

Q. 制作の際にこだわっているポイントを教えてください。

 松竹カレンダーの特色を出すという意味で、10年程前から女優さん全員に着物を着ていただく「着物のカレンダー」にしています。元々松竹カレンダーの衣裳は、着物の方もいらっしゃいましたが、全員ではなく、洋服やドレスをそれぞれのスタイリストさんに選んでいただくスタイルでした。それが、当時の担当者の「特色を出すために、全員12名を着物で統一したい」という提案から「それって今まで誰もやっていないね」ということで、全員が着物で、コーディネーターもできるだけ統一するという作り方をしたところ、お客様から好評を得て、松竹ならではのカラーとして定着しました。全体のバランスや月、季節、女優さんのイメージなどに合わせて例えば1月なら訪問着、夏なら小紋など着物の種類や色を変え、女優さんにふさわしい良い着物を揃えています。カレンダーにこれだけの女優さんをそろえて、全員が着物のものというのはなかなか無いのではないでしょうか。


2019年 松竹カレンダー
2018年 松竹カレンダー
2017年 松竹カレンダー
2016年 松竹カレンダー

Q. お客様へのメッセージをお願いします。

 私は担当になって4年目なのですが、松竹カレンダーは松竹という冠が付く伝統のカレンダーです。私が担当者として把握している限り、出演者リストの履歴が1960年から残っているのですが、60年近く色々な担当者が毎年作ってきたカレンダーなので、「松竹のカレンダー」として買っていただくお客様にいいねと言ってもらえるものを作りたいと常々思っています。
 大きな壁かけカレンダーを家に飾る方がだんだん少なくなっていて、数年前から卓上カレンダーも作っているのですが、松竹カレンダーはこの形、大きさというこだわりがあるので、壁かけのサイズは変えずに作っています。毎年積み上げ綿々と引き継がれてきたこのカレンダーを、是非ご購入いただき、女優さんの美しい表情に癒されてください。

松竹株式会社 事業部事業推進室
竹内 豊(たけうちゆたか)

 次回・Vol.5