映画・アニメの世界

【作品データベース】不死鳥 ふしちょう

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・82分 大船作品
流麗なキャメラワークと繊細な演出で魅せる戦争未亡人の哀しくも美しき愛の思い出。女学生から母親までを演じ切る田中絹代とこの作品でデビューした佐田啓二のコンビで贈る麗しき愛の讃歌!

STORY
程近い海から潮の香が、静かな波の音にのってくるある初秋の朝。未亡人といえば世間一般では、かげの女のようにとかく忘れられがちなものなのに…私がどんなに今幸福であるか、誰も知らない…と小夜子(田中絹代)は思うのである。真実こそ人間最上のものである。真実に生き抜く人こそ真に幸福な人の姿である。小夜子は恋に生き、愛に生き、はるかな希望を抱いて明日も又生きようとするのだった。他のどんな愛人同志でも、私達ほど愛し合うことは出来ないと過去の日を誇らかに思い出すのだ。その頃は小夜子は女学生服、真一(佐田啓二)は一高の制帽姿だった、そして学校の生き帰りにいつの日からとなく乙女心に印象づけられていった。真一の落とした定期券を小夜子が届けたことによって、二人の青春が急速に接近していった。夢のような四年は、テニスコートの春、ドライブの夏、音楽会の秋、ゴルフ場の春と過ぎていった。真一の頑固な父は二人の仲を頑強に反対した。やがて真一の入営も近づいたが、突如、余りにも突然、小夜子に不幸が襲ってきたのである。父の死!弟の病!無情にも軍の命令は、その小夜子を一人残して行かなければならなかった。真一が一週間の休暇で帰ってくるという報があった時、突然真一の父が疎開先の小夜子を訪れたのである。今正に息をひきとる弟を安心させてやってくれと、涙ながらの小夜子の真心は、いかな頑固な父親でも心打たれないはずはなかった。六年間の二人の真剣な愛が、結婚せずしてどうして一生の悦びとすることが出来るだろうか…。

キャスト・スタッフ

- キャスト -
田中絹代
佐田啓二
山内明
小杉勇
- スタッフ -
原作:川頭義郎
監督:木下惠介
脚色:木下惠介
撮影:楠田浩之
音楽:木下忠司

配給:松竹
©1947松竹株式会社

ジャンル:現代劇