映画・アニメの世界

【作品データベース】三つの愛 みっつのあい

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・114分 大船作品
小林正樹が『壁あつき部屋』に次いで、自ら書き下したオリジナル・シナリオにより監督する作品。「単なるホームドラマとは違う、ピューリタンなシャシン」をめざして、初めて自らのオリジナル脚本で完成させた、純粋なる愛のドラマ。少年に教師、聖職者といったそれぞれの立場の異なる者たちの”無償の愛”の行方が、差別や偏見に翻弄されがちな人間の弱さと強さの両面を見据えつつ描出されていき、その中から「人はみな十字架を背負って歩み続ける存在」という、小林映画ならではのモチーフがストレートに訴えられている。

STORY
高原の静かな村に大学教授をしながら細々と生計を立てている翻訳家の志摩修平(山形勲)と幸(山田五十鈴)の夫婦が住んでいた。一人息子の平太(森昭治)はいわゆる特異児童で、蝶を追い鳩を愛し、鳥の鳴き真似をしては野山を駈けずり廻っていた。村の村会議員で造酒屋の孝造(進藤英太郎)の許へ中川郁二郎(細谷一郎)という笛の上手な少年が母親のふみ(望月優子)に連れられて奉公にやって来た。学校へあげてやるというのは名ばかりで、ていのいいタダ奉公に雇われたのである。何時かこの寂しい二人の少年は友達になるが、村人達は何かと特異児童の平太をつまはじきにした。新しく小学校の音楽教師に赴任して来た里見通子(岸惠子)と教会の牧師で修平の友人の八杉神父(伊藤雄之助)だけが平太に優しくしてくれた。八杉は妻町子(文谷千代子)に裏切られた事から神に仕える身となったのである。通子にも西田信之(三島耕)という絵描きの恋人がいたが、貧しい二人には結婚さえ自由にならなかった。仕事の都合で、修平は東京へ転宅しようとする。しかし幸と八杉に言われ平太のため此の土地に留まる事に飜意した。八杉も町子の罪を許した。信之と通子とはお互いの愛情の中に美しく生きつづけた。郁二郎も貧しい母を考えて苦しい中に生き抜いていた。しかし平太は小鳩を親鳩の許へ帰してやろうとして木から落ちて死んだ。

キャスト・スタッフ

- キャスト -
山田五十鈴
岸惠子
三島耕
伊藤雄之助
- スタッフ -
監督:小林正樹
脚本:小林正樹
撮影:井上晴二
音楽:木下忠司

配給:松竹
©1954松竹株式会社

ジャンル:現代劇